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The Seventh Report of the Joint National Committee on Prevension,Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood Pressure
石光 俊彦 (獨協医科大学循環器内科)
米国合同委員会により2003年に発表されたJNC-7は,エビデンスに基づく最新の情報を提供するとともに最大限の実用化を目指し,明白かつ簡潔にまとめられた高血圧診療ガイドラインである.
近年,各国において高血圧診療のガイドラインが出されるようになったが,米国合同委員会第7次報告(JNC-7)1)は,ヨーロッパ高血圧学会のガイドラインとともに,世界的に最もよく参照される診療指針であり,数年に1回の改訂のたびに大きな関心が寄せられている.2003年に発表されたJNC-7 においては,ALLHAT2)をはじめJNC-6の後に発表された大規模臨床試験の成績を考慮し,ガイドラインの情報が最大限に活かされるべく,臨床医にとって明白かつ簡潔な診療指針を呈示することが目標とされた.
表はJNC-7で示された血圧の分類である.JNC-7においても高血圧の診断基準は149/90mmHg以上であるが,正常血圧であってもより低い血圧(120/80mmHg未満)が理想的であり,120~139/80~89mmHgは前高血圧(prehypertension)として生活習慣の改善を行うとともに糖尿病,慢性腎臓病(CKD),脳卒中後,虚血性心疾患の高リスク,心筋梗塞後,心不全などを合併する場合には積極的に適応する降圧薬を投与することが推奨されている.
高血圧の重症度については,JNC-6では180/110mmHg以上はステージ3として区別されたが,JNC-7では160/100mmHg以上は速やかに薬物治療を開始するべきであり,多くの場合血圧のコントロールに複数の降圧薬を要することで共通するためステージ2としてまとめられ,より簡素かつ明確な血圧分類とされた.
24時間自由行動下血圧測定(ABPM)は診察時血圧よりも密接に標的臓器障害と相関し,白衣高血圧,薬効評価,発作性高血圧,自律神経機能障害や夜間血圧低下欠如(non-dipper)の評価に有用であり,家庭血圧も白衣高血圧の診断とともに治療コンプライアンスの向上に役立つことが述べられている.JNC-7では,ABPMや家庭血圧と心血管病のリスクとの関係については述べられていないが,この点については,PAMELA研究3)や大迫研究4)などの報告がある.
JNC-7における成人の血圧の分類と管理

心血管病のリスクの評価は,治療方針を決定するうえで必須であり,血圧のみならず他の危険因子も含めて総合的に判断することが重要である.心血管系危険因子は,高血圧,喫煙,肥満,運動不足,脂質代謝異常,高齢,心血管病の家族歴,標的臓器障害の存在などであるが,この中にGFR60mL/min/1.73m2未満または微量アルブミン尿を呈するCKDの概念が取り入れられている.また,肥満に関してはBMI30kg/m2以上としているものの,腹囲の測定が危険因子の評価に有用である可能性に触れている.一方,睡眠時無呼吸症候群については,治療抵抗性高血圧の原因という位置づけではなく,二次性高血圧の原因の一つとしてあげられている.
JNC-5以来,高血圧の予防・治療のための非薬物療法は,Life Style Modificationと表現されている.その主な内容は,減量,減塩,運動,飲酒制限などであるが,それぞれについて個別に説明することは省略され,これらを組み合わせてDietary Approach to Stop Hypertension(DASH)5)として総合的に行うことにより効果を高めることの重要性が強調されている.
降圧薬に関しては,利尿薬,β遮断薬,Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARBなど主要な降圧薬は,いずれも高血圧性合併症を抑制するエビデンスが示されているものの,ALLHATでは利尿薬に比べ優れるものはなく,安価であることからもサイアザイド系利尿薬の使用を増やすことを推奨している.また,薬剤費の節減のため,合剤や後発品の使用を考慮することにも言及している.
治療の目標としては収縮期血圧のコントロールに重点を置くべきであり,目標血圧は140/90mmHg未満,糖尿病や腎疾患を合併する場合には130/80mmHg未満としている.そして,多くの高血圧患者では十分な血圧コントロールのために2剤以上の降圧薬の併用が必要とされ,目標血圧よりも20/10mmHg以上高い場合には併用療法による治療の開始を考慮するべきであることを述べている.
JNC-7では,適切な高血圧治療の普及を目指し,従来の報告よりも簡潔にまとめられている.例えば,JNC-6では各単元の末尾に数項目のまとめが枠囲みで示されていたが,JNC-7では冒頭において8項目の要点が約300語にまとめられて示されており,ガイドラインの内容の骨子が一望できる形となっている.JNC-7は2003年に発表されたが,JNC-6の後にトピックスとして発展したCKDやメタボリックシンドロームの概念が取り入れられており,最新の情報やエビデンスをもとに構築されたコンパクトかつ質の高いガイドラインであると考えられる.
※メディカルレビュー社 『高血圧ナビゲーター第2版』 第8章診断・治療指針より、出版社の承諾のもと一部改変し掲載しております。